罰金を取られないために

まだ渋谷にもバイクパーキングが少なかった頃の話じゃ。
夜、友達と道玄坂のカフェで最近わしがハマっちょる音楽の話をメインにお茶飲み話でもしましょう、っちゅう約束があって、目黒からビッグスクーターに乗って行ったんじゃ。
夏の暑い夜じゃったが、初夏の夜にビッグスクーターに乗ると、夜風が気持ちええんじゃね。
その夜の目的地は道玄坂にあるおしゃれなカフェじゃったんじゃ。
でも、さすがに、道玄坂なんかにビッグスクーターを置くのは人通りも多すぎて危険だし、通行人に迷惑をかけることもあるし、でも何よりもスクーターを倒されて傷でもつけられたら嫌だったので、やっぱり別の所に置くことにしましたんじゃ。

目的地のカフェからは、大分離れちょるけれど、駅から246を超えて少し南の方の、並木橋のコンビニのそばにスクーターを置いておくことにしましたんじゃ。
バイクパーキングが無いのだから、仕方あらん。
あの日はお茶飲み話をしながらの軽いお喋り程度で、まったりと時間は流れてゆきましたんじゃ。
しかし、その二時間程度の間に、違反シールが座席の上にペタッと貼られていましたんじゃ。
道路交通法が改正されてから暫くは特に取り締まりが厳しくて、監視員も一体東京じゅうに何人いるのやら、といった具合にしょっちゅう見かけましたんじゃ。
よくコンビニのそばならきっぷを切られんとか、銀行の脇なら安心だとか言われとったのじゃけど、そんなものは都市伝説だったんじゃ。

そして、また違反金だのなんだので手痛い出費が。
今まであたしが払った違反金で、ちぃとした旅行に行ける位じゃ。
あの頃に比べたら道玄坂周辺にも随分バイクパーキングが増えてきましたんじゃ。
あの街の場合、盗難なんかの犯罪意識の薄い若者が多いのも事実じゃけえ、1時間たった100円のバイクパーキングでしっかり安全を守ってもらえるのなら、安いものなんじゃないかなあと思います。
今だったら、道玄坂にも知っとるバイクパーキングが2つもあるのに。
もしあの頃も存在しとったら、違反で支払ったお金で温泉にでも行くのにと、返す返す残念じゃ。